食品 放射線検査
食品中の放射線を検査するには
福島原発事故で放出された放射性物質は日本の広範囲に飛散し、食品の安全性が懸念されています。様々な場面で、食品の放射能汚染の確認や、食品の安全性の証明が求められてきています。2011年12月現在、厚生労働省は、以下のように食品中の放射性物質に暫定規制値を設けています。
この暫定規制値が、人体にとって高いか低いかはよく議論されていますが、放射線測定装置にとっては低い値であることは間違いありません。放射線測定装置は方式・性能によって様々な種類・機種があり価格帯も様々ですが、食品からの微量の放射線を正確に測定出来る装置は多くありません。ガイガーカウンターと総称される個人用放射線測定装置や、表面汚染測定用のサーベイメータでは、食品からの微量な放射線(主にγ線)を正確に測定し、規制値を超えているサンプルかどうか判別することは不可能です。食品中の放射性を測定・判別可能な種類は、大まかに区分して以下の3つになります。
1.半導体ゲルマニュウム検出器
2.NaIシンチレーションスペクトロメータ
3.NaIシンチレーションサーベイメータ
当社では福島原発事故以前から、「3.NaIシンチレーションサーベイメータ」の販売を行ってきました。「1.半導体ゲルマニュウム検出器」の販売は行っておりませんが、「2.NaIシンチレーションスペクトロメータ」を販売する予定になっています。
半導体ゲルマニウム検出器 | シンチレーション スペクトロメータ |
シンチレーション サーベイメータ |
|
---|---|---|---|
測定精度 | ◎:高い | ○:それなりに高い | △:低い |
精密分析 | ◎:各省庁が定める公定法 | ×:精密検査の公定法ではない | ×:精密検査の公定法ではない |
スクリーニング法 | ○:スクリーニング法として用いる にはコストが高い |
◎:スクリーニングとしての 感度は高い。 |
○:コストは最も安いが、 感度は低い。 |
価格 | ×:1500万~ | ○:~300万 | ◎:30万~ |
維持費 | ×:高い。 液体窒素の常備・専門的な メンテナンスが必要 |
○:それなり | ◎:安い |
設置場所 | ×:かなりの重量があるので、 設置場所を選ぶ |
△:それなりの重量があるので、 設置場所を多少選ぶ |
◎:可搬型で、持ち運びが可能 |
使用難易度 | ×:難しい。 測定の専門家・実習が必要 |
△:それなりに難しい。 | ◎:簡易 |
食品の放射線セシウムのスクリーニング検査は、文部科学省の「緊急時における放射性ヨウ素測定法」や、厚生労働省の「緊急時における放射性測定マニュアル」に沿って、NaI結晶検出器のシンチレーションサーベイメータ・シンチレーションスペクトロメータを使用して行われていました。
2011年10月4日、厚生労働省から「食品中の放射性セシウムスクリーニング法について」が通知されました。これにより、以前から定められていた測定方法は、より詳細・厳格・具体的に訂正・補足されました。また、上記のスクリーニングに用いることが出来る機種として、日本アイソトープ協会ホームページに、Ludlum社のNaIシンチレーションサーベイメータが掲載されています。
関連リンク
- ・厚生労働省 食品中の放射性セシウムスクリーニング法の一部改正について
- ・日本アイソトープ協会 食品中の放射性セシウムスクリーニング法に対応可能な機種 (NaI(Tl)シンチレーション検出器)の情報について
- ・鉛遮蔽
食品 放射線検査 対応製品
Model 100CR 食品検査用スペクトロメータセット
「厚生労働省:食品中の放射性セシウムスクリーニング法」適合機種
2×2/3×3インチNaI結晶の検出器と、鉛厚30/50mmの遮蔽体により、1Lマリネリ容器での短時間スクリーニング試験が可能です。